私のマンションから二十分くらいだろうの道程を私と小春くんはなにも話さず刻々と車で相対する事となった。

私としては話はしたつもりである。昨日はどんなご飯食べたの?とか今日は天気イイね、とかそんな差し障りの無い誰もがするような世間話を振ったつもりではある。だが彼が返す返答は、「うん」と「そう」の二文字ずつである。まるで昔のゲームの主人公の様に「はい」か「いいえ」でしか物事を喋れないのかコイツは。と思ったが話すだけ無駄だろうと悟り、私達の「会話」は終了した。

さて──私達が所属している会社は至って中小企業の小売業と言っても良いだろう。その営業部の先輩の私と後輩の小春くん。二人のツーマンセルで仕事は開始される。無機質な同僚との挨拶を終え、私は朝の事務作業に取り掛かる。

勿論、私には仲間が要るのだろうがそれは上辺だけの関係であり、休日に遊びに行くなんてことはない。会社の中での「仲間」なのだろう。私は気にしていないし彼らも気にしていないだろう。

そんな中身が空っぽな会社なのである。