秒速１センチ

───おはよう。小春くん

これには返答を期待していない、なにも答えず車を出してくれ後輩よ。私はむしろ返答をして欲しくないような捻じ曲がった考えをしていたが、今日の彼は一味違った様で私の予想をふた周り位越した返答を寄越してきたのだった。

───おはよう。小枝

予想外の答えを頂戴し、なんとも言えない顔になる。今までならば私を呼ぶ時は名字を呼ぶおろか、「ねぇ」や「ちょっと」みたいなそんな言葉でしか呼ばれ無かったのに、いきなり先輩にその態度はどうなんだろう？いやいやそうじゃないだろう。それじゃなんか親密な関係みたいじゃ…

私の考えをシャットアウトする様に車を発進させられ微妙な心持ちのまま、出社する事となった。