なーんて、しみじみと語っているけど、
当時はそんなこと、考えたことなかった。
とにかく、夫と葉菜のものを自分の目の前から消そうとした。
ふたりを忘れたかったわけじゃない。
もう二度と使われることがない、持ち主をなくしたそれらを見るのが辛すぎた。
そして、それらと共に、蘇る記憶が悲しすぎた。
同情と悲しみを混ぜた目でわたしを見てくる、夫の友人や葉菜を通じて知り合ったママ友たちに気丈に振る舞うには、それらは、わたしにとって、━━言い方は悪いけど━━邪魔物だった。
心を掻き乱す、それらをなんとか処分しようと、当時のわたしは必死だったのだ。
