体育館で部活を始めようと、みんな集まってるんだけど、大輔先輩が来ない。



どうしたんだろう?



少しの不安が、再び押し寄せる。


すると、先輩と同じクラスの人が、



「大輔なんか、本間さんに校内案内してって頼まれてたから、遅れてくるかも。」



えっ‥‥‥。



先輩が?


またあの女の人に?


先輩は来てないけど、とりあえず副キャプテンを中心に練習を始めた。



「ちょっと小夜!あの女なんのつもり?!」


怒りをあらわにしてる尋佳。


みんなのスコアノートのチェックをしながら、アタシも悲しい気持ちになっていた。



『あの女の人‥‥本間さんって、先輩のこと狙ってるのかな‥‥?』



「当たり前でしょ!絶対そうだよ!でも今回は、お兄ちゃんも悪い。」



2人組で、ストレッチや、パスの練習が始まった。


『なんで‥‥?』



実はアタシも先輩に対して、すこしイラつきを感じてしまっていた。



「だって彼女が居るんだから、断るときは、やっぱりしっかり断らなきゃ。
小夜、あんたもたまには、バシッと文句言ってやりなさいよ。」



アタシの背中を叩いて尋佳が意気込んだ。



『‥‥そうだよね‥?でもアタシがそんなこと言っても良いのかな?』


「あんた良い子すぎ!たまには、ワガママとか不満はちゃんと言わないと。」



そうかな‥?


アタシは今までも先輩に、たくさんワガママ言ったし、いっぱい迷惑だってかけてる。



アタシは先輩のために何もしてないのに、アタシが文句なんて言って良いの?


だって一番恐いのは、


一番辛いのは、


先輩に嫌われちゃうこと。


先輩を失うことだもん。


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