「セス…これからこの見知らぬ世界でどうやって暮らしていくつもりだい?
僕はこの世界では泉の精霊だから、ここを離れることは出来ないんだ。」
「わかってるさ。
ま、なんとかなるだろ。
知らない場所を旅するのは嫌いじゃないしな。」
「そう…それなら良かったよ。」
「なぁ、フォルテュナ……旅に疲れたら、たまにはあんたに会いに来ても良いか?
それとも、立場の違うこの世界じゃ、あんたと俺は友達じゃなくなるのか?」
セスは、どこか心配そうな声でフォルテュナに尋ねる。
「どんなに状況が変わっても、変わらないものもあるんだよ。」
フォルテュナは遠くを見ながら、まるで独り言のように呟いた。
「相変わらず、ひねくれた言い方だな。」
二人は同時に苦笑いを浮かべて俯いた。
「……それにしても疲れた。
今夜はここに泊めてもらって良いかな?」
「泊まるって…ここには宿もベッドもないけど、それで良ければ…」
「どうせ、俺は文無しだから、そんなものはなくても構わないさ。
精霊様のお許しが出たから、今夜はゆっくり眠れるな。」
「供物があっちにたくさんあるから、それを食べると良いよ。」
「そうだな…腹もすいてるけど…
今はなんだかとにかく眠い…
少し寝かせてもらって良いかな?」
「あぁ、構わないよ。」
「ありがとう、助かるよ。」
セスは、泉のすぐ傍の柔らかな草の上に身を横たえた。
見知らぬ世界での今後のことも、フォルテュナが精霊だったということも、セスにはそんなことはどうでも良いことのように思えた。
ずっと心配していた友人が無事でいてくれた。
それが確認されたのだから。
誰が、何のために、セスやフォルテュナに、ルシアン達の歴史を伝えたのか…
伝える事にどんな意味があったのか…
きっとそれは知る必要のある時になれば自然に明かされるのだ。
セスは、自分にそう言い聞かせながら、風の音に耳を澄ませる。
(同じじゃないか…
俺の世界の風の音と少しも変わらない…)
口許に小さな笑みを浮かべながら、セスは風の音を子守歌に、静かに眠りに落ちた。
そんなセスの姿を横目で見ながら、フォルテュナは幸せそうな笑みを浮かべる。
(今度こそ、僕にも掴めるかもしれないね…)
~fin~
僕はこの世界では泉の精霊だから、ここを離れることは出来ないんだ。」
「わかってるさ。
ま、なんとかなるだろ。
知らない場所を旅するのは嫌いじゃないしな。」
「そう…それなら良かったよ。」
「なぁ、フォルテュナ……旅に疲れたら、たまにはあんたに会いに来ても良いか?
それとも、立場の違うこの世界じゃ、あんたと俺は友達じゃなくなるのか?」
セスは、どこか心配そうな声でフォルテュナに尋ねる。
「どんなに状況が変わっても、変わらないものもあるんだよ。」
フォルテュナは遠くを見ながら、まるで独り言のように呟いた。
「相変わらず、ひねくれた言い方だな。」
二人は同時に苦笑いを浮かべて俯いた。
「……それにしても疲れた。
今夜はここに泊めてもらって良いかな?」
「泊まるって…ここには宿もベッドもないけど、それで良ければ…」
「どうせ、俺は文無しだから、そんなものはなくても構わないさ。
精霊様のお許しが出たから、今夜はゆっくり眠れるな。」
「供物があっちにたくさんあるから、それを食べると良いよ。」
「そうだな…腹もすいてるけど…
今はなんだかとにかく眠い…
少し寝かせてもらって良いかな?」
「あぁ、構わないよ。」
「ありがとう、助かるよ。」
セスは、泉のすぐ傍の柔らかな草の上に身を横たえた。
見知らぬ世界での今後のことも、フォルテュナが精霊だったということも、セスにはそんなことはどうでも良いことのように思えた。
ずっと心配していた友人が無事でいてくれた。
それが確認されたのだから。
誰が、何のために、セスやフォルテュナに、ルシアン達の歴史を伝えたのか…
伝える事にどんな意味があったのか…
きっとそれは知る必要のある時になれば自然に明かされるのだ。
セスは、自分にそう言い聞かせながら、風の音に耳を澄ませる。
(同じじゃないか…
俺の世界の風の音と少しも変わらない…)
口許に小さな笑みを浮かべながら、セスは風の音を子守歌に、静かに眠りに落ちた。
そんなセスの姿を横目で見ながら、フォルテュナは幸せそうな笑みを浮かべる。
(今度こそ、僕にも掴めるかもしれないね…)
~fin~



