「異世界ファンタジーで15+1のお題」四

「それはわからない。
僕はその子に会ったこともないから、どんな性格なのかもわからないしね。
でも……」

「フォルテュナ、頼む!
どうか、ルシアン様を大臣と出会わないようにしてくれ。
そうすれば、皆、うまくいく。
誰も悲しむこともなく、命を落とすこともなく幸せに暮らしていけるはずだ。
王族だって続いていただろうし、国ももっと繁栄していただろう…」

「……そうだと良いね。」

「どういうことだ?」

やけに冷たく響いたフォルテュナの言葉に、セスは反発するようにその意味を尋ねた。



「歯車を替えれば大きく進路が変わる場合もあるけど、そうじゃない場合もあるってことさ。
変わったと思っても、行きつく場所が同じだってこともある。
それは、進んでみないと誰にもわからないことなんだ。
それとね…仮に変わったとしても、君が元の世界に戻れる保証はないんだよ。
戻らなきゃどうなったかも確かめられない…
僕としては、元の世界に戻ることを選ぶ方が良いと思うけど…」

「いや…俺はこのままで良いんだ。
だから頼む!
どうか、ルシアン様と大臣を出会わないようにしてくれ!
皆が不幸にならないように…!」

セスは、真っ直ぐな瞳でフォルテュナに懇願する。



「セス、勘違いしないで。
僕は水を飲ませるか飲ませないかを決めるだけだよ。
願いを叶えるのはこの水なんだ。」

フォルテュナは、身をかがめて泉の水を柄杓ですくい、それをセスの前に差し出した。
セスは、何かを考えるようにその水をじっとみつめる。



「フォルテュナ、これを飲めば良いのか?」

「そうだよ。
願いを込めて…ね。」

セスは柄杓を受け取り、そのままごくりと飲み干した。
少し甘味を感じるその水は、セスの乾いた喉を潤しただけで、当然のことながらあたりにもセスにも何の変化も見られなかった。




「……これで良いのか?」

「そうだね…願いは叶えられた筈だよ。」

「そうか……これで、ルシアン様は大臣には出会わない……」

セスは、安心したように息を吐き出した。



「でも、それがどんな影響を及ぼしたか、どんな変化をもたらしたかを知る術はない…」

「……いつかきっとわかる時が来るさ…」

「君は変な所で楽観主義なんだね。」

「あんたは意地悪だな。
黙ってそう思わせておいてくれても良いじゃないか。」

「……そうだったね。」

フォルテュナは失笑し、小さく首を振りながら俯いた。