「そ、そんな…!」

一週間ぶりに隠れ家に顔を出したシスター・シャーリーの言葉に、皆、言葉を失った。



「国王は、心身ともにすっかり弱りきってらっしゃいます。
あの後、ジュネ様やラーク様達が一度も降りて来られていないことをお伝えすると、国王はとても安心されたようで…
子供達が無事ならもう思い残すことはない、早くルシアンの元へ逝きたいと、そんなことを…」

「な…なんという…
国王が王妃のことを深く愛されていたことは周知の事実だが、そこまで弱られていらっしゃるとは…」

「ギリアスさん、急がなくては!
一刻も早く国王をお助けしなくては…!」

ライアンの言葉に、皆、深く頷く。



「それで、シスター・シャーリー、あなたは今どの程度国王と接触出来るのです?」

「国王は最近食事も採られなくなったそうで…大臣はそのことを心配しておりました。」

「大臣がなぜそんなことを?
国王が亡くなれば、大臣の思う壺ではないのですか?」

「それはそうですが…
まだはっきりとはわかりませんが、どうやら大臣には国王になること以外に、なんらかの思惑があるようなのです。」

「国王を生かしておきたい理由…」

男達は、頭をひねり各自その理由を考えたが誰もたいしたことを思いつく者はいなかった。



「それで、先程の続きなのですが…大臣は国王の懺悔を聞いたり一緒に祈りをして国王のお心を軽くして差し上げるようにと、私に命じました。
国王に生きる気力を取り戻してほしいと考えているのでしょう。
しかし、私の周りにはいつも大臣に忠誠を誓う手下がおります。
国王もそんな者達の前で懺悔等出来る筈もありませんし、私からも何かを伝えることは出来ない状況なのです。」

「そうでしたか…それで、国王は今どこに?」

「それが…ルシアン様のおられたあの搭だったのです。
以前は地下に閉じ込められていらっしゃったようですが、皆さんが脱獄されてからあの場所へ移されたようです。
そのことも国王のお心に障ったのだと思います。
あそこにはルシアン様を思い出させるものがたくさんあるのですから…」

シスター・シャーリーの言葉に、男達は納得したように何度も頷いた。