「異世界ファンタジーで15+1のお題」四





国王や兵士達のことを考えれば、ぐずぐずしてはいられない。
事は迅速かつ慎重に進められた。
その晩、早速、キルシュは先輩コックのジェシーの部屋から眠り薬をくすねることに成功した。
それと、運ばれて行くまともな料理が四人分であることを確認し、兵士の救出は、二日後に決行の時を迎えた。



「僕達の脱走のことはまだ話題になってないのか?」

「いや、誰もそんなことは言ってなかった。
脱走されたなんてことが大臣にバレたら大変なことになると思って、隠してるのかもしれないな。」

「多分、その通りだろうな。」

ライアンは、そう言って満足そうに頷く。



「じゃあ、キルシュ、眠り薬のことは頼んだぞ!」

「うん、頑張るよ。
君達もくれぐれも無茶はしないでくれよ。
危ないと思ったら、すぐに逃げるんだよ!」

「あぁ、わかってる!
じゃあ、また夜中にここで落ち合おう!」



兵士達が食料を受け取りに来るのは決まって九時だということだった。
眠り薬が効くのにしばらくかかることを考え、牢を破るのは十時と決まった。

九時を少し過ぎた頃から、セスとライアンは隠し部屋を抜け出し、注意深く地下の牢に近付く。
今回は夜の庭を通り移動したため、城の内部を通るよりも危険を感じる事なく進む事が出来た。
地下牢は奥まった場所にあるため、城の中に戻ってからも誰にも出会うことはなかった。



「さ、問題はここからだ。
セス、僕は残念ながら腕っ節にはまったく自信がない。
武器もこれだけだ。」

ライアンは、腰に差しためん棒を指し示して苦笑いを浮かべる。
キルシュが厨房からくすねてきたものだ。
刃物や銀製品には厳しく目が光っているため、持ち出せたのはめん棒だけだった。
素手よりはマシという程度の代物だ。



「俺もものすごく強いってわけじゃないけど…力の限り闘うよ。」

牢の近くで物陰に潜みながら時が経つのを待ち、十時になったのを確認すると二人は牢へ近付いた。
鉄の扉の近くには誰もおらず、そのことが却って不気味に感じられたが、躊躇している時間はない。
ライアンは、激しい緊張感の中、懸命に鍵を探った。
しばらくすると、かちゃりという音と共にライアンの顔に笑みが宿った。



「あと一つだ!」

「頼んだぜ、ライアン!」