猫の世界と私

「あ……」



手から力が抜け、ふとした瞬間に流れ込んだ風と記憶。
瞳から映る景色と共に、記憶が脳裏に流れ込む。


確かに結愛は、この場所を知っている。


そして、隣には彼が…瑛祐がいた。



「思い出した？」



未来の質問に結愛は頷く。



「思い出したけど、やっぱり彼のことで思い出せるのは、隣にいたということだけ…」

「そっ…か…」

「未来？」

「ううん、ねぇ、結愛…気付いてる？」

「え？」

「あなたの大切な彼と、私の彼氏は同じ人だよ」

「………え…？」



今までの行動の中で大切な人が同じ人だってことが分かるかどうかは正直不明だけれど、未来は結愛のことを知っていて、結愛と瑛祐が付き合い始めた場所、思い出の場所を知っている。

それを知っているとすれば、瑛祐と繋がりのある人ということに違いはない。


けれど、はっきりと言えば予想外だった。