猫の世界と私

「ついて来いって言ってるのかな、道は知ってるんだけどね」



未来は小さく笑うと、結愛へ視線を送った。
結愛も頷き、猫を見つめる。

結局猫は、結愛と未来の数歩前を行くように歩き、時折後ろを振り向くことを学校に着くまで繰り返した。



「着いたね」



結愛は呟きと共に、自分が何度ここに足を運んだだろうと考えた。
迷い込んだ回数まで入れるとキリがない。
そして、思い出せない。

そう思いながらも、再び校門へ足を踏み入れる。


いつもの猫たちは、それぞれの場所でくつろぎ、その中を結愛と未来は通り、校舎の中に入った。



「未来、今度は校舎の中に入るの?」

「うん。教室に案内してくれる?」

「教室?」

「うん、教室」



そう言うと、未来は靴を脱ぎ、そのままで廊下へ向かった。
結愛は自身の靴箱に靴を仕舞うと、上靴に履き替え、未来の後を追った。