猫の世界と私

もしかしたら油断した時に来るのかもしれない。
そろそろ来るはずだ。

途端に不安になる。

結愛の表情が歪んだ。



「結愛?どうしたの?ネックレス付け終わったよ」

「あ…うん…ありがとう…」

「…どうしたの?ひどい顔してる」

「………」

「結愛?」

「…そろそろ私、また消えて迷い込むっていうことがあると思う…」

「…記憶がなくなる…っていう?」

「うん」

「……結愛、じゃ、急ごう」

「え?」

「まだ行きたい場所があるの」

「行きたい場所?」

「うん、その場所に行ってもいいかな?」

「あ…うん…でも、どこなの?」

「もう一度高校に行きたい」

「え、じゃ、戻るってこと?」

「…うん…そうなる…ごめんね」

「ううん、いいよ」

「じゃ、行こう。その間に結愛が消えて、違う所に迷い込んだとしても私がちゃんと探し出してあげる。そして、また一緒に行動するんだから」

「…ありがとう…」