猫の世界と私

「それ、結愛も着けて」

「え?」

「お揃い、いいでしょ?」

「……でも…」

「お揃い、嫌かな?」

「嫌じゃないの。ただ、これは未来と彼との思い出でしょ?だから、私が割って入るような感じは何だか…」

「大丈夫だよ。そんなことは思ってないから。ただ、純粋に結愛とお揃いだな、と思っただけだよ」

「……うん…」

「ほら、後ろ向いて。着けてあげるよ」



促されるままに、結愛は後ろを向き、未来に身を任せた。
金色のイルカが胸元で小さく揺れる。

初めての感覚。

少し、自分が変わっていく感じがした。


ふとしたことが結愛の頭を過ぎる。
固まったように動きを止め、結愛は考えた。


未来と出会ってから、まだ再び記憶が欠落して迷い込むということが起きていない。