猫の世界と私

「結愛、ありがとう」

「ん?なんでお礼?」

「優しいから」

「そう言われると照れる…」

「私、ちゃんと彼のこと見てなかったのかもしれない」

「え?」



結愛の手の上から覆うように未来は手を置いた。
切なさは消えないまま、何かを決意した強い視線が結愛とぶつかる。



「彼と行った場所、もっともっと行きたい。彼はきっと、どこかにいる」

「…うん」

「ちゃんと彼を知りたい」

「うん」

「…ごめん、結愛…振り回すことになっちゃうけど…」

「いいよ…うん、行こう」



優しい笑顔で結愛は返す。
そんな結愛を見て未来もまた、笑顔で返した。