猫の世界と私

「ううん、実は、一度だけなの」

「一度だけ?」

「うん。私が行きたいって言った場所なの。水族館に行った帰りで、閉園間際だったけど観覧車だけが動いてて…」

「季節的に行きたくなったのかな?あ、でも、水族館と遊園地だったら季節は問わないか」

「まぁ…なんて言うか…デートスポットでしょ?水族館も遊園地も…彼と二人で出かけられるなら、どこでもよかった」

「で、ここに来たってこと?」

「うん。私、水族館行ったことなかったの。だから、余計に張り切っちゃって…そういうのもあって思い出の場所なの」



優しげな笑顔と遠い瞳。
未来には今、思い出が過ぎっている。

傍から見ている結愛にもそれは分かった。



「未来、水族館にも行ってみようか」

「うん」



そして、結愛と未来は、遊園地から少し歩いた先にある水族館へ向かった。
イルカの像があり、広くて長い階段がある。
そして、ガラス張りの入口にたどり着く。