猫の世界と私

「ねぇ、結愛。これ、見間違いじゃないよね?」

「…うん、大丈夫。私にも見えてるよ」

「これ、動いてるね」



大きくて丸く、そして、よく景色が見える観覧車が、大きな弧を描き動いていた。
結愛と未来は、その一つのゴンドラを見上げる。



「結愛…」

「何?」

「彼、いるかな?」

「ゴンドラ一つ一つ見てみよう」

「うん」



そう言うと、乗り場まで近付き、一つ一つゴンドラを見ていく。
なぜ観覧車は動いているのか。

無人の操縦席は、ボタンを光らせ、観覧車を動かしている。

地上に着いたゴンドラは、扉を開けることもなく再び上へ上がっていく。
それからどれだけのゴンドラを見送ったのか、結局誰も人がいることは確認されなかった。



「いないね」



結愛の言葉に、未来は黙って頷いた。



「ここ、彼とよく来たの?」