猫の世界と私

「………」



入った遊園地を隅から隅まで見渡し、結愛と未来は遊園地の状況を見て絶句した。
遊具は止まっている。
誰もいない。
光もない。


ただそこに物があるだけで、音も動きも無の世界。


そんな遊園地は記憶の中をどんなに巡らせても出てこない。
初めての光景だった。

その中を、結愛と未来は足を進める。



「ねぇ、結愛。何か、怖くない?」

「……うん…でも、私は少し慣れたかな…」

「え…」

「だって、未来と出会う前は本当に私一人だったから」

「………そ…っか…」



いくら慣れているとはいえ、今の光景は怖いものがある。
普段賑やかな場所が静かな程、余計に何かを感じさせるものなんだと思った。


回らないメリーゴーランドを抜け、動かないジェットコースターのレールを眺める。
電源の入っていないゲームコーナーに、何の匂いもしない飲食店を通り過ぎ、結愛と未来は足を止めた。