猫の世界と私

戸惑う表情を見せながらも、笑顔を浮かべる未来。
笑顔を浮かべながらも、複雑な表情を見せる結愛。

自分の出した答えが正しいのか、結愛には分からない。

別々に行動すると決断を、なぜ出さなかったのかも分からない。

ただ、目の前にいた未来の不安な表情を見ると、居たたまれない気持ちが溢れた。


記憶があまりない状態のまま模索して未来を振り回すよりも、記憶がはっきりとしている未来の問題を先に解決してからの方がいいかもしれないと純粋に思った結果だ。


結愛は溜息を付き、夕日に視線を移した。



「電車、止まるね」



カタンカタンと音を立てながら、ゆっくりと速度を緩めた電車が駅に止まる。
機械音を響かせ、開いた扉から結愛と未来は降りた。

降りた駅から見える景色は、結愛が知っている景色。

それは、海へと続く道がある駅だった。



「この駅…」

「結愛、知ってるの?」

「知ってる。未来と出会う前、私ここに来たの」

「そうなの?」

「うん。もしかして、未来もここに?」

「うん。ここは彼と来た場所。ここにもしかしたらいるかもしれないって思ったから…」

「そっか…もしかして、その場所って…海?」

「ううん、海じゃないの。海、来たかったけど…結局行かなかったなぁ…」