猫の世界と私

未来は涙を拭い、猫の背中を撫でる。
猫は気持ちよさそうに、未来の膝の上に座った。


夕日に照らされた未来と猫の光景は、絵になる程綺麗だと結愛は感じていた。



「次は…」



駅に止まることを知らせるアナウンスが流れる。
その声を聞いた未来が突然立ち上がり、辺りを見渡した。
驚いた猫は飛び降り、距離を起き未来の様子を伺っている。


突然の行動に、結愛も驚き、未来を見上げた。



「未来?」

「…え?」

「どうしたの?」

「あ、ごめん…そんなわけないのに…」

「どうしたの?」

「聴き慣れた声がしたから」

「聴き慣れた声?」

「うん。彼の声…」

「え?」

「そんなわけないのにね」