猫の世界と私

「くすぐったい…」

「にゃぁ…」

「やだ、何か、この猫優しすぎて涙が止まらなくなっちゃう」



結愛は未来の側にいる猫を見る。
見たことのある毛並み、けれど、どこで見たのかは思い出せない。
開いた瞳の色を見た結愛は目を見開き、猫を見つめた。


黄緑色の瞳。


教室、校門、電車内で見た猫と同じ。
その猫が再び姿を現した。
結愛は、その瞳を見た途端に、すぐ側にいてくれていた猫の姿を思い出した。
忘れたままではなく、記憶が戻った。
そんな小さなことが、結愛に安心感を与えた。


もしかして…今まで会った猫たちは常に側にいるのかもしれない。



「この猫たち、どこから来てるのかな。この猫、さっきも見たよね?」

「……未来、気付いてたの?」

「気付いてたって…ほとんど模様も同じだったから覚えてただけだよ」

「…そっか。未来はよく見てるね。私、ついさっき気付いたよ」