猫の世界と私

未来は満面の笑みを結愛に向けた。
同じように結愛も笑顔を返す。
やがて未来は結愛と共に歩き出した。


お互いの思い出のために。


結愛はふと振り返り、思い出の場所である椅子とテーブルを見つめた。
蘇った思い出。
そして、忘れたもの…


こんなことがあった、そんな記憶は思い出すのに、徐々に消えていく瑛祐の姿。
思い出の場所にいたのは確かかもしれないけれど、瑛祐の顔、表情、声色はなく、雰囲気でしか感じ取れない。

そう気づいた結愛は、ふと笑った。

彼を忘れないようにと奮闘しているけれど、彼との思い出は蘇っていくのに、彼自身のことに関しては忘れていっている。

結局は、彼のことを忘れていることが事実だった。