言葉を思い返し、記憶を探る。
その先を探し、締め付けられた胸の痛みに、果たされなかったことを理解することができた。



「ここに来たのは思い出すためだったのかな…」



顔を手で覆い、声をあげて泣いた。



「にゃぁぁぁぁお…にゃぁぁぁぁお…」



結愛の泣き声と共に聞こえてきた猫の声。
突然聞こえた猫の声に、結愛は顔を上げ、声のする方向へ視線を移した。


砂浜の向こうにある防波堤に並んでいる猫たち。
いつの間に現れたのか、綺麗に一直線に並び、鳴き声をあげていた。

突然のことだったが、結愛の涙は止まらない。

溢れる涙に身を任せ、そのまま声をあげて泣いた。
猫の声も負けずに響く。



「忘れたくない…忘れたくないよ!私、絶対に忘れない…」