猫の世界と私

―また今度、今度行こう―

―分かった。絶対よ!約束!約束しないと瑛祐、すぐ忘れちゃうから…―

―忘れないって―

―絶対よ!―

―はいはい―



「私は…知ってるの…?ここを…」


自分が立っている場所から、ぐるりと一周見渡す。
このどこかで、頭を過ぎった言葉を交わしたのかもしれない。



「………」



記憶があるようで、全てを思い出すことができない状態に、結愛の瞳から涙がこぼれた。
これは瑛祐との思い出。
そして、瑛祐と交わした約束。


約束…


そう思った結愛の心が締め付けられた。


その約束は果たされていない。