猫の世界と私

結愛が駅を出た先に見たのは、ずっと先まで続く広い道路。
どこまで続いているのかは分からない、真っ直ぐに伸びる道。

引き寄せられるように結愛は、その道を進んだ。



「そういえば、今回の靴、サンダルだった…」



今いる場所に合ったの服を着ている結愛。
まるで、ここに来なければならなかったかのように、上手く回っている世界に、結愛は確信を持って道を進んだ。

歩くには果てしなく長い道。


その途中に、プールを併設している遊園地があり、更に少し行くと水族館があった。
ふと見るが、やはり誰もいないことが分かる。


遠くに見える観覧車は動いておらず、夕日が寂しく反射していた。

人がいるはずの遊園地に誰もいないことが、こんなにも寂しく、そして怖いものなのかと実感させてくれる。


結愛は切なげな表情で遊園地を見ると、そのまま道を進めた。


途中あった水族館にも人はおらず、近くにある駐車場には車もない。
遠くに見える入口は光も見えず、開いているのかも定かではない。


ふと気にはなるが、中に入る勇気は出ずに、結愛は歩き続ける。