猫の世界と私

「次は…次は…」



そんな中流れてくるアナウンス。
誰もいないのに、この声は誰のものなのか…

もう、結愛がその声に驚くことはなかった。


やがて電車が止まる。
差し込む夕日の色は変わらないまま、世界を染めていた。

それは開いた扉からも確認できるほどの光の強さで、思わず結愛はその方向へ視線を移した。



「……ここは…どこなの?」



開いた扉から見える景色が予想外で、思わず結愛は立ち上がり電車から降りた。

駅は小さく、そして、田舎くさい。
屋根を支えている柱が木で出来ていて、どことなく昔風な感じがした。

ホームから見える木々は綺麗に並んでいるが、太く大きい。
青々とした葉が、強くたくましいイメージを感じさせる。

ただ、木々があるからといって先が見えない程生い茂っているわけではない。


結愛はホームにある階段を上ると、改札を抜けた。