「黄緑色しているはずなのに、夕日のせいなのかな…朱色が吸い込まれてるみたいな綺麗な瞳をしているのね…不思議…」



時折見える黄色や、緑が不思議な感覚にさせる。
その色が心の奥深くに染み込み、一気に切なく、寂しい感情がこみ上げてきた。


結愛は抱き上げた猫を撫で、頬を摺り寄せる。


柔らかい毛が結愛の頬をくすぐっているようで、むず痒い。
多少感覚が残るけれど、それが面白くてもう一度繰り返す。


猫も理解したのか、同じように顔を上に向け、結愛の行動に応えた。



「…君は、すごく人懐っこいのね」

「にゃぁ…」

「ごめんね、私、もう行かないと…また、会えたらいいね…」



そして抱いていた猫を下ろす。
教室を出た時と同じような声で猫たちは鳴いた。
校門側まで近付き、いよいよ校門を出ようとしたその時、突然、結愛の足元にフワフワとしたものが触れた。

驚きながらも結愛は、その存在を確認する。
先程まで抱いていた黄緑色の瞳をした猫。


「…ごめんね、本当に行かなきゃ…」



黄緑色の瞳をした猫は結愛の言葉が分かったのか、擦り寄るのを止め、お座りの状態で結愛をジッと見ていた。