さっきまでは様々な体制、行動で過ごしていた猫たち。
視線は一斉だったが、体制は違っていた。


それが、今は同じ向きで同じ姿勢で、結愛を見つめ鳴いている。


行くことを止めているのか、それとも送り出しているのか、どちらかは分からない。
どちらにしても、悲しげな気持ちが伝わってくることは変わらず、結愛は猫たちと同じような表情で返すしかなかった。


再び結愛は歩き出す。


その後ろで猫たちは鳴き続け、後ろ髪引かれながらも結愛は足を進めた。

前とは違う状況だけど、猫たちが追いかけてこないことは以前と変わらない。

猫たちの鳴き声は玄関の扉を開くところまで響いていた。



「鳴き声は止んだ…けど、ここにもまた猫はいるのよね…」



玄関の扉を開け、結愛は外に出ていた。
夕焼けは変わらず、悲しげに、そして煌々と輝かせている。
そして、変わらず姿を現す猫たち。


結愛は、擦り寄ってきた黄緑色の瞳を持つ猫を抱き上げた。