猫の世界と私

そうすると感じる、足先からフワリと浮く感覚。


さっきまで感じていた電車の揺れと、床の感覚が瞬時になくなり、結愛は突然暗闇に包まれた。

状況を確認したいのに、一度目を閉じてしまうと、なぜか瞳を開くことができない。


結愛は今置かれた状況に、身を任せるしかなかった。


どうなるのか。
なぜ、こんなことになっているのか。


そう心で思っているのに、不思議と焦ることがない。


たぶん、この状況は初めてではないのだろう。
そんな感じがするのに、思い出せない。



「あ…そっか…」



どうなっているのかは分からない。
けれど、結愛は一つだけ思い出すことができた。


この状況が落ち着き、瞳を開くと、自分がどうなっているのか。


この先に待っているのは、スタートライン。
そう…そうだったはず。