「瑛祐君…」



未来は瑛祐の冷たくなった手を取る。
汗をかき、冷気に当てられたというのもあるのか、かなり冷たく、未来は自身の手で瑛祐の手を覆った。

未来の温かさが伝わったのか、瑛祐の手に突然力が入った。

握られた手を離さないように、未来と英介は観覧車に乗る。
係員の人にゴンドラの扉を閉められ、観覧車はゆっくりと動き出す。
瑛祐と未来は向かい合うように座り、景色を眺めた。



「夕日、綺麗だね…」

「…そうだな…」

「寂しげにも見える?」

「………そうだな…」

「結愛さん、好きだったね、夕日」

「うん…」

「猫のことも好きだった」

「うん…」

「瑛祐君のことも大好きだった」

「………」



ゆっくりとした時間の中に沈黙が流れる。