猫の世界と私

「……そっか…この猫見る限り、怪我をした様子もないし、別の猫だと思うよ。もしかしたら子供かも」

「…子供だったとしても、あの場所から結構な距離があると思う…」

「ん…そうね、でも、子供、孫の可能性は捨てきれないよ。もしかしたら、ここまで頑張って来たのかもしれないし」

「そうか…そうだな…」



あの時で終わっていたと思っていた縁が、ここでまた出会い、あの時から止まっていた時間が少し動いたようだった。

そして、瑛祐は未来との時間が徐々に動き出し、瑛祐は自分の時間について考えるようになっていた。


大学2年後期試験が終わり、休みを迎えようとしていた日。
その日は雪が降り、最高気温と最低気温の差があまりないほどの寒い一日だった。

吐く息は景色を白く染め、出ている肌は寒気でチクチクと痛む。
校舎の中も寒く、風が当たらないだけで寒さは外と変わらない。

その中を生徒たちが行き来するため、少しの熱気が校舎内を温めていた。


瑛祐は滑る廊下を慎重に歩く。
寒さのあまり早く歩けないこともあるが、油断すれば滑りそうな程の水滴が廊下を濡らし、窓ガラスも曇らせている。