猫の世界と私

「ごめん、遅刻した」

「いいよ。遅刻って少しでしょ」

「少しでも遅刻は遅刻。本当にごめん」

「いいって。あ、ねぇ、瑛祐君。こっちきて」

「?」



おいでと、手で瑛祐を促し、未来は少ししゃがむと一匹の猫を抱き上げた。
その猫を見て瑛祐の足が止まる。



「猫がいたの。しかも、この猫、人懐っこいの」

「え…その猫…」

「ん?どうしたの?」

「何でいるんだ」



呆然と瑛祐は猫を見ている。
未来が抱いていた猫は、黄緑色の瞳が特徴の猫。
結愛が生きていた時に、よく一緒にいた猫にそっくりだった。



「猫…どうしたの?」



未来は抱き上げた猫を見る。
その猫が瑛祐の知っている猫とそっくりだということは知らない。