猫の世界と私

「いいよ。俺、パンケーキ嫌いじゃないし」

「え…よく分かったね、私の行きたいところ」

「ホントだな。大体、行きたいって人に言うんだったら、その店が載っている場所を指くらい指そうね」

「あ、つい。早く言わなきゃって慌てて…」

「何で慌てる必要があるかな。今度の日曜がダメなら、来週でもいいでしょ」

「…そりゃそうだけど…瑛祐君と一緒にいるの、楽しいから、焦っちゃう自分がいるの。迷惑なら謝る」

「別に迷惑じゃないよ。じゃ、日曜日な」

「うん!」



少し距離を置きながら一緒にいる。
これが瑛祐と未来のいつもの距離だ。

時間が経つにつれて、未来の存在が大きくなっていっている。
このままでいいわけがない、それは分かっている。

未来と付き合い、時間を重ねていく中で、結愛との思い出が美化され続け、仕舞いには忘れてしまうかもしれない。

その怖さだけが、現実の進みを躊躇させていた。


いつもの調子で進んでいった休日。
瑛祐と結愛はパンケーキがある街の駅で待ち合わせをしていた。