猫の世界と私

大学二年、冬。
瑛祐は未来と二人で過ごすことが多くなっていた。
特別イベントを過ごすことはないが、普段はいつも一緒にいても不思議に思わない程の関係だ。
想いは心の中で留めているけれど、付き合っているわけではない。
けれど、客観的に見れば、瑛祐と未来は恋人同士だと誰もが思っていた。



「ねぇ、瑛祐君。今度の土曜日予定ある」

「いや、特にない」



唐突に始まった会話。
皆が集まる食堂で、瑛祐は、一人先に昼食を取っていた。
そこに講義を終えた未来が、瑛祐を発見して駆け寄り今に至る。



「じゃぁさ、ここ行かない?…じゃなくて、行きたい」



未来に差し出されたフリーペーパーの一部分を読み、特に指を指されたわけではないが、何処に行きたいのか瑛祐には、すぐに分かった。