猫の世界と私

いつもと様子が違う瑛祐に、未来が気付き、呼びかける。



「瑛祐君?」



愕然としていた瑛祐を現実に引き戻してくれた未来の声。
戸惑いながらも瑛祐は未来へ視線を移す。



「何?」

「どうしたの?」

「…思い出しただけだよ」

「…そっか…そう…か…はぁ…」

「何?」

「ねぇ、瑛祐君。こんな時に言うことじゃないとは分かってるんだけど…いいかな?」

「何?」

「付き合って」

「…ん?」

「瑛祐君のこと好きなの。私と付き合ってもらえませんか?」

「………」

「……結愛さんのことは勿論、これから先ずっと忘れなくてもいい。ただ、私は瑛祐君の隣にいたいの。瑛祐君の笑顔、もっと見たい」

「……ごめん…」

「………」

「…ごめん」

「…分かってる。そう言うと思ってた。けど、私が瑛祐君を想うことはそのままでいさせて。付き合えなくてもいい、ただ、今の関係は終わらせたくないし、簡単に想いを忘れられるほど私も器用じゃないの」