猫の世界と私

未来に腕を引っ張られ、瑛祐は引きずられるように遊園地へ入園した。
夕焼けが眩しく数々の遊園地を照らしている。

閉館が近いからか、全てのアトラクションが動いているわけではない。
寂しくも感じる中、見える範囲で動いている唯一のアトラクションがあった。



「やった!観覧車動いてる!瑛祐君、早く!」

「はいはい…」



諦めたように瑛祐は腕を引く未来に身を任せ、観覧車へ向かった。
大きな観覧車はゆっくりと周り、今の時間帯である夕日に染められた海を見ることが出来る。
滅多に見れることのない景色かもしれない。


未来と瑛祐は観覧車に乗り込むと、向かい合って座った。少し息が上がったからか、呼吸の音が早い。
瑛祐は一度深く深呼吸をすると、夕日が輝く景色を眺めた。



「………」



夕日が好きだった結愛。
結愛の存在は忘れていない。


けれど、瑛祐は、自分に起こった心の変化に気づくと言葉を詰まらせた。