猫の世界と私

廊下は綺麗な茜色に染まり、夕日が窓から顔を覗かせている。
圧倒的な存在感に、思わず瑛祐は立ち止まり、力なく廊下に座った。

思い出される結愛の笑顔。
夕日の中、始まった関係。

この色が大好きだった結愛が心を染めていく。


会いたい。
会えない。
声を聞きたい。
聞けない。


どうしようもない絶望感の中、瑛祐は動けずに、その場でうずくまっていた。
いつも見ている夕日のはずが、今は不安で仕方がない。
夕日が沈むまで、まだ時間はある。
なのに、夕日を見ることが出来ない瑛祐は、ここから動くことができない。

そうして静かに待った時間、いつものメンバーが、教室から一人、二人と出てきた。廊下に出ると、そこに座り込んで、うずくまっている瑛祐の姿を発見し、驚いて駆け寄る。その中には驚いた顔をした未来も含まれていた。



「瑛祐君!どうしたの?」