猫の世界と私

冷房が効いた図書館の中、無言のまま夢中で宿題を終わらせていく。
全てを終わらせることはできないが、ある程度の所までは終わらせることが出来た。花火大会に行っても、互いの家に行き来しても、余裕がある程だった。その余裕を保ったまま海の日を迎える。

水着、タオル、その他必要なものをバッグに詰め、瑛祐は電車に乗る。

今日は海に行くには最高の晴れ日で、太陽の光が強く街を照らしている。それは、電車に乗っている瑛祐の肌にもダメージを与えていた。

窓から降り注ぐ太陽の光は、かなりの威力を放っていた。



「暑いな…今日はまた一段と…」



眩しさに目を細め、瑛祐は、結愛が乗ってくる最寄りの駅まで景色を眺めていた。
数駅を通り過ぎ、駅のホームに結愛の姿を見つけると、瑛祐は立ち上がり、結愛から近い扉付近に移動した。


機械音を鳴らし、開く扉から熱い風と結愛が静かに入ってくる。


ジーンズ生地のショートパンツに、タンクトップ、その上に半袖の薄い白いシャツを羽織り、下を結んでいる。
髪は今の長さからはどうすることもできないのか、肩にかかる髪をそのまま流し、足元はウッド調のサンダルで全体的にシンプルにまとまっていた。
いつもと違う様子に、瑛祐は思わず見とれてしまう。
結愛は瑛祐の姿に、すぐに気付いていた。
思わず行動が止まったままの瑛祐を、結愛は促し、二人は出入り口付近の空いていた椅子に座ると、結愛は持っていたタオルで汗を拭った。