猫の世界と私

「この猫、私たちのこと探してたみたい。ついさっき現れたの」

「へぇ、中々可愛いな」

「ホントね」

「じゃ、また明日」

「うん」



それから瑛祐と結愛は、学校がある日は猫と共に過ごす日が多くなった。
二人でいても、自然と猫が間に入る。
けれど、それが自然で、普通だった。



高校二年、春。
今までの偶然に感謝する時が来た。
瑛祐と結愛はクラスが離れ、教室の場所も階が違うため、遠く少しの休み時間にも会うことが困難になった。



「クラス離れちゃったね」

「…そうだな。今までが偶然過ぎたんだよ」

「それもそうか…」



残念そうに眉を下げ、結愛は瑛祐を見ていた。
同じように困った顔をして、瑛祐も応える。