猫の世界と私

結愛は息をすることも忘れ、猫たちの雰囲気に呑まれていた。



「なんで…」



そう、なんで。



「なんで、そんな瞳で私を見ているの?」



そう、なんで。



「また、あなたたちは見ているだけなの?」



異様な視線を受けたまま動くことは、とても勇気のいることだ。
再び新しい世界に行くために、結愛は一歩を踏み出した。


踏み出すたびに離れていく猫たち。


結愛が次の世界に行くことが分かっているかのように、猫はただ見ているだけだった。



校門付近にたどり着き、結愛は後ろを振り返る。