猫の世界と私

「よかった、目開けてくれた…」



声の主へ視線を送る。
そこには心配そうな表情で瑛祐を見つめる結愛の姿があった。



「そりゃ、寝てるだけだから目は開くよ」

「…だって、朝は本当に突然だったから…」

「ごめん、驚かせて…」

「ううん、いいの。瑛祐君、もう動ける?」

「ん?…あぁ、何とか…」

「じゃ、今のうちに帰ろうか。もう、放課後なんだ」

「え、そうなの?」

「うん。ほら、外は立派な夕日」

「あ、ホントだ…俺、今日何しに学校に来たんだろう…」



一日寝たきりで、授業を受けることもなく、友人と話すこともなく終わった日。
結愛と話さなければ、保健の先生との会話だけとなっていた。