猫の世界と私

「まぁ、目の前で倒れられたら心配するよね、普通」

「………」

「両親呼ぶ?それとも自力で帰る?」

「自力で帰ります…」

「そう、じゃ、これ解熱剤と饅頭」

「ま、饅頭?」

「空きっ腹で薬飲めないでしょ。それ、先生からのプレゼント。それ食べて、薬飲んで放課後まで寝てなさい。もっと落ち着くと思うから、それから自力で帰るなら帰りなさい。きっと彼女も来ると思うし…」

「わ、分かりました…すみません…」



先生の厚意に甘え、瑛祐は饅頭を胃の中に入れると、解熱剤を飲んだ。
それから横になり、白い天井を見ながら考える。

遠くなる意識の中、驚き、必死な顔をして名前を呼ぶ結愛の姿を瑛祐は見た。


会いたい。


瑛祐は目を閉じ、再び眠りに着いた。



「…すけ、瑛祐…」



名前を呼ばれ、瑛祐は瞼を開く。
まだ頭が重い気がするが、先生と会話した時よりも、体が動く気がする。