猫の世界と私

まだ完全には暗くないが、星がまたたき始めた時間帯。
花火は星と共に輝く。

一つ目の花火は祭りの始まりの合図と同じ。

徐々に人は集まり、あっという間に人の流れを作り出した。
出店で何かを買うにも流れにそって動かないとたどり着けない。


瑛祐は、一つ目の花火が上がったことを確認すると、結愛の手を引いて歩き出した。



「瑛祐君…」

「ごめん、まだ夕日完全に沈んでいないけど、花火が始まったから…行こう…まだ、今日は終わらないよ」

「う、うん」



自然と握られた手。
腕を掴むわけでもなく、互の手を取り合い、握っている。

勢いに任せて瑛祐は結愛の手を握っていた。

結愛が戸惑うことも分かっている。
けれど、戸惑うだけなら遠慮はしたくない。

これはチャンスだ。


頬を赤くした瑛祐は前を向いたまま、結愛の手を取り歩いている。

その後ろを結愛も、手を振りほどくこともなく下を向き、歩いていた。


それ以上の進展はなかったけれど、瑛祐と結愛の距離はかなり縮まった気がした。