「はぁ・・・」
あたしはため息をこぼしながら、俯いた。
本当にヤバい。
ご飯、まだ食べていないんだよね。
「おい」
そんな肩を落としているあたしの前に、人影が。
俯いてるから、靴だけが見えた。
あたしを包む黒い影。
どうやら、あたしは誰かに声を掛けられたようだ。
でも、知らない声。
少し不安になりながらも、助けてもらえるかもしれないと、期待を胸に頭を上げた。
「えっ・・・」
でも、あたしは一瞬にして動けなくなる。
あたしの小さな期待は、一瞬にして台風に吹き飛ばされ、まるで最初からなかったかのように、跡形もなくなっていた。
だって、目の前には・・・。
金色の髪。
かすかに匂う、石鹸の香り。
耳にピアス。
イヤホンは、片方外してある。
黒い、悲しそうな瞳。
何を考えてるのか読めない表情。
高野、凌我。



