さっきまで違う歩幅で歩いていたのに、今は同じだ。
それだけのことで、凌我に近づけたみたいに感じた。
「凌我は、冷たいね」
凌我は、心まで冷えてるんじゃないかって思った。
また、ちょっと悲しくなる。
「でも、お前が温めてくれるし」
あたしは凌我にそう言われ、嬉しくて泣きそうになった。
きっと今のこの状況のことを言ってるんだろうけど、あたしにはそれがずっとずっと永遠に一緒にいようって言われてるかのように思える。
そんなわけないんだけど。
可笑しいな。
そんな風に思って、浮かれるなんて。
体温、高くて良かった。
「うん・・・そうだね」
少し笑みがこぼれる。
「凌我といると楽しいな」
ふと、何も考えずに自然と口にしていた言葉で、我ながら照れてヘヘッと笑いながら凌我を見る。
「そうか?そんなこと、言われたことないな」
凌我はあたしを見ずにそう不思議そうに言った。
その横顔はいつものようにカッコよくて、でも、何故か頬がほんのり赤らんでいるように見えた。



