「うん・・・」
あたしはまた、凌我の後ろをついて行く。
その後ろ姿を見ながら、少しだけ寂しくなった。
本当に、あたしは彼のことを何にも知らないんだな。
少し前に家庭事情を話してくれたけど、それ以外は何も、だ。
あの瞳に映る世界は、どんな色をしているんだろう?
あの瞳に映っていたあたしと出会う前の世界は、どんな色をしていたんだろう?
そして、あの瞳に映るあたしは、どんな存在なんだろう?
いつもいつも、あたしは不思議で。
どうして急にパンケーキを食べに来たの?
どうして私に構ってきたの?
どんなことを思って今一緒にいるの?
ねえ、どうして。
どうして私と付き合おうと思ったの?
元々、交わることがないと思っていたあたしと彼の世界。
彼は、遠い世界の住人だった。
でも、今はきっと・・・同じ世界で生きてるはずだから。
もっと知りたい。
もっと教えてほしい。
だから、この背中が妙に遠く、冷たく感じてしまう。
だから、あたしは少し走って彼の隣に行く。
そして彼の顔を覗きこむと、彼はあたしを見て、少しだけ驚いたような顔をした。



