あたしはその後も黙ってパンケーキをパクパクと口の中へ運んでいく。
でも、ずっと心だけ他の世界にいってしまっていた。
凌我には悪いなって思うけど、原因は全て凌我にある。
そう思って、開き直った。
でも、本当に、凌我と出会ってからあたしは可笑しくなってしまった。
いつも何故か凌我のことばかり考えていて。
いつも凌我に会いたいって思うようになって。
もっと凌我のことを知りたいって思うようになって。
もっと凌我と一緒にいたいと思うようになって。
経験したことない気持ちに、あたしは動揺してしまっている。
そしてたまに、凌我のことが好きなんじゃないかって思ってしまったり。
分かんないけど、早くこの気持ちにケリをつけたい。
この感情に名前をつけたい。
だって、なんだかむず痒いんだもん・・・。
そんなことをずっと考えていたら、いつの間にかパンケーキ屋を出ていた。
放課後に一緒に帰っても寄り道なんてしたことなかったから、これがいわゆる初デートってやつなのに、ほとんど喋らなかったことに、今更になって後悔している。
あとは、帰るだけだし。
「行くか」
財布を鞄の中に入れた凌我がそう言って、歩き出した。



