凌我はそんなあたしを見ると、一瞬驚いた顔をした後、バカにしたように笑った。
「ははっ、いきなりどうした」
「だって、奢るとか言うから・・・」
あたしは、恥ずかしいのと、ちょっとムカついた気持ちを、ほっぺたを膨らますことで表す。
「当たり前のこと言っただけだけど?」
「いや、絶対当たり前じゃない」
いくら恋人(仮)といえど、奢るとか、何かこう男気みたいなものを出されるとこれがデートなのかって思ってドキドキしてしまう。
男の子と放課後にデートして奢ってもらったことなんてない私には、それだけで胸がきゅうってする。
「・・・でもま、今日は俺の奢りな」
凌我は、そんなあたしの心音を知っているのか知らないのか、そう言ってまた、笑った。
「・・・うん、ありがとう」
だからだ。
だから、あたしは何も言えなくなるんだ。
付き合うことになった時だって、そうだった。
強引で自己中で、あたしを惑わすから。
「で?なにがいい?」
「・・・苺Wチョコパンケーキ」
「りょーかい」
そう言うと凌我は、呼び鈴を鳴らした。



