ポケットに手を入れている。
少し猫背。
一瞬通っただけだったけど、あたしは何故か、とても魅かれた。
香水の臭い匂いがするのかと思ってた。
けど、石鹸の香りなんて。
恐いはずなのに、あたしは振り返った。
彼は、人の目を気にせず歩いて行く。
やっぱり、変な人だ。
掴みどころがなさそうな人だ。
けれど、
「やっぱり苦手だ・・・」
あたしはそっと呟いた。
ええと、確か名前は。
「高野(たかの)・・凌我(りょうが)、だっけ?」
なんなんだろう、あの人。
まあ、あたしとは関係のない世界の人だけど。
私は小さく息を吐いた。



