「・・・行くぞ」

「あ、うん」

彼はあたしの少し前を歩いて行く。

その後ろ姿に、キュンとしたり。


あたしは、何となく周りを見渡した。


みんな、彼を見ている。


チラチラ見てる人もいれば、ガン見してる人もいる。

人それぞれだけど、確実に彼を見ている。


そんなみんなの目も、それぞれで。

カッコいいという目や、尊敬の目。
すごいという目もある。

逆に、引いてる目や、敵意丸出しの目。

前のあたしのように、苦手だと感じていそうな目もあった。


ん?

苦手なのは、今も変わらないか。


・・・だけど、みんな共通して、彼を見ていた。


彼は、そんなこと気にもしないように、廊下の真ん中を進んでいく。


そんな彼について行ってるあたしも、やっぱり目立っているみたい。


「あれ、高野くんの新しい彼女?」

「えー、地味じゃない?」

「もっとギャルみたいな人だと思ってたー」

なんていう会話が、さっきから聞こえてきてる。