ケンカもしょっちゅうしているようだし、色んな女の人と遊びまくってるらしい。
あたし、ああいう派手な人は好きじゃない。
派手なのにいつも一人なのは気になるけど、でもやっぱ恐い。
怯えながらも、もう一度、彼を見てみた。
「・・・・。」
あれ?
なんかこっちに来てない?
まあ、ここは廊下だし、近くに売店あるから、来るのは当たり前なんだけど。
あたしに支障はないんだけど。
や、今は来ないでほしい。
あたしは一歩足を下げた。
それは、捻挫している右足で。
「・・・ったぁ」
一気に右足に痛みが走る。
よりにもよって右足を下げた自分をまた、バカだと蔑みながら、彼を見つめる。
どうしよう。あたし、近寄られるのも無理なんだけど・・・。
・・・と。
フワリと、温かい風があたしの頬を撫でた。
それと同時に、石鹸のいい香りがした。
あたしの隣を横切る人の金色の髪がなびく。
あたしは背が小さい方だけど、それを抜きにしても背が高い人影。



