「おい、優乃。飯、食うぞ」


彼と付き合うことになってしまった次の日。

あたしは、ママが作ってくれた美味しいお弁当を落としてしまった。


柊といつものようにお昼ご飯を食べようと思って、あたしは窓側にある柊の机に自分の机をくっつけていた。

その時、彼は平然とあたしの教室のドアの所にやってきたのだ。

そしてそんなことを言うもんだから、クラスは一気に大パニック。
女子はキャーキャー騒ぐわ、男子はあたしを見てコソコソ話すわ。

あたしはというと、落としたお弁当も拾わずに彼を見て固まっていた。


「優乃、おい、聞いてんのかよ」

なんで、そんな普通にあたしの名前を呼ぶんですか。
なんて思いながら、ドキドキしているあたし。


「・・・おい、チビ子」

「その呼び方は止めて!」

あたしはすぐに反応する。

あんなに固まっていたのに、あたしって結構すごい?


「・・・ほら、早く来いよ」

彼は、前髪を怠そうに掻き上げた。